大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和30年(行モ)22号 決定

申立人 中央労働委員会

被申立人 兵庫県知事

主文

被申立人は申立人が被申立人に対してなした中労委昭和二十九年(不再)第四十三号不労当働行為事件の命令に従い、昭和三十年十一月一日以降当裁判所昭和三十年(行)第七五号不当労働行為救済命令取消請求事件の判決確定に至るまで、塩崎広、大倉輝夫に対し毎月その給与相当額中各金一万二千円を支払うことを命令する。

(裁判官 西川美数 綿引末男 三好達)

【参考資料】

緊急命令申立書

申立人 中央労働委員会

被申立人 国

申立の趣旨

右当事者間の御庁昭和三十年(行)第七五号不当労働行為救済命令取消請求事件が確定するまで、被申立人は、昭和二十八年十一月十日塩崎広、大倉輝夫に対してなした解雇通知を取消し、原職に復歸せしめ、かつ昭和二十八年十一月十一日から原職復歸に至る迄の間に、右両名が受ける筈であつた給与相当額を、右両名にそれぞれ支給せよ。

との決定を求める。

申立の理由

一、塩崎広、大倉輝夫は、いずれも、もと被申立人に雇用されていたいわゆる駐留軍間接雇用労働者であるが、両名とも昭和二十八年十一月十日保安上の理由により解雇された。

二、これに対し、右両名並びに全駐留軍労働組合兵庫地区本部は、昭和二十九年七月十五日兵庫県地方労働委員会に対して両名の解雇は労組法第七条第一号に違反する不当労働行為なりとして救済申立をなしたところ、同地労委は、同年十一月二十二日附で「被申立人は昭和二十八年十一月十日申立人塩崎広、同大倉輝夫に対してなした解雇通知を取消し、原職に復歸せしめ、かつ昭和二十八年十一月十一日から原職復歸に至る迄の間に、右申立人等が受ける筈であつた給与相当額を右申立人等にそれぞれ支給せよ」との命令を発した。

兵庫県知事は右命令を不服として、同年十二月二十五日申立人中央労働委員会に再審査の申立をなしたのであるが、申立人委員会も初審命令を維持することを相当と認め、昭和三十年六月二十九日附をもつて、右再審査申立を棄却する旨の命令を発し、この命令は同年七月十三日同知事に送達された。

三、右救済命令に対し、被申立人国は、昭和三十年八月十二日右救済命令の取消を求める旨の行政訴訟を提起し、右事件は御庁昭和三十年(行)第七五号事件として目下審理中である。

四、もしこの訴訟の解決するまで申立人委員会の発した前記命令の内容が実現されないならば、右の救済を受けた塩崎広、大倉輝夫の両名及びその家族の生活は甚しく窮乏し、恢復すべからざる損害を蒙ることは明らかであり、ひいては労働組合法の立法精神は沒却されるに至ることになるので、昭和三十年九月七日の申立人委員会第二百三十七回公益委員会議において労働組合法第二十七条第七項の規定による命令の申立をなすことを決議した。ここに本申立に及んだ次第である。

疎明方法(省略)

昭和三十年九月十四日

右申立人指定代理人 小林直人

東京地方裁判所民事第十九部 御中

(別紙省略)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例